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【投資とは?】〈投資と預貯金の違いについて〉
FPのエレファント先生です。恒例シリーズ「子どもに正しいお金の知識を教えたい」の第三回となりました。
今回は投資についてです。学校でも、お金のため方や増やし方、節約方法や収支バランスなどを教えてくれたらいいのに、と私も学生時代を振り返ると思うことがあります。
それは大人になってから、ある種経験と独学でお金について学ばねばならないからです。
しかし、世の中には言葉巧みによくわからない投資のお誘いをしてくる輩も少なくありません。
甜言蜜語、美辞麗句な言葉で、勧誘され、結局損をするような投資、
また最近はインフルエンサーの影響からか、「自己投資」という言葉が独り歩きして、
自己投資の本当の意味や価値を見出せずに、高額セミナーなどで大切なお金を消耗してしまう大学生くらいの若者も少なくありません。
ではなぜ、こういった投資やお金の貯蓄でうまくいかないのかといえば、
1.地頭力が養われていないから
2.客観的、冷静に判断できないから
3.広い視野でお金の流れを捉えていないから
などが原因としては考えられます。
資産形成をはじめると「投資」と「預貯金」の2つの方法で、お金を運用することになります。
「投資」と聞くと危ない/リスクが高いと言うイメージを持たれている方も多いと思いますが、
まずは「預貯金」と「投資」の違いを知ることで、「投資」についての正しい理解が深まっていきます。
預貯金とは
「預貯金」は、一般的な貯金のイメージの通り、預金や貯金でお金を貯めることです。
ただお金を銀行口座に預けているだけなので「増やす」事はできませんが、貯めたお金が「減る」事もありません。
また、すぐに口座から出金できるため使いたい時に使うことができます。
投資とは
「投資」は、株式や債券といった金融商品を購入して、お金を増やすことです。
「投資」は確実に「増える」事が保証されているものではありません。
預貯金と比べてお金を増やす期待はできますが、完全な予測もできません。
また、リスクの少ない投資であるほど長期間での値上がりを期待して金融商品を保有する事になるので、
中〜長期的な保有が必要になってきます。
〈投資の特徴〉
自分の持っているお金を「投資」に回す時に、実際にどの様な事に注意するべきか?
その為には次の2点を理解しておきましょう!
・投資にはリスクとリターンがあり、投資した金額が増えることもあれば、減ることもあるということ
・中長期での値上がりを期待するので「投資」したお金はしばらく動かせないということ
「投資」には上記の様な特徴があるからこそ、
●数年内に使い道が決まっている住宅資金や結婚資金等。
●すぐに使う予定のある生活費
この様なお金を使って投資をすることは「かえって損を生む」事に繋がるので避けた方がよいです。
おこずかいやバイト代、初任給で始められる投資の選び方
もしも中学生の子どもがいたら、おこずかい3000円の中でその一部を使って投資経験を体験させるのはとても有意義だと思います。
おこずかいというものはまず子どもがお金の収支バランスを学ぶ上でとても大切な機会です。
毎月のおこずかいやお年玉を月初めにすべて使い切ってしまうのも、また全く使わずにコツコツ貯金してしまうのも、
実はこのお金のバランスを身に付けることはできません。
例えば、3000円で30日を過ごすためには劣後順位、優先順位を決め、
今月はこのおこずかいを何に使おうと考えたり、一カ月のおこずかいでは買えないものを、ある程度おこずかいをプールして3カ月後に購入したりと計画たてることが大切です。
浪費癖がある人の特徴
投資や預貯金の対極に存在するもの、それが浪費癖です。
大人になっても社会人になって定額のサラリーを毎月得られるようになっても一向に口座額が増えない原因としては、
この浪費癖があるのかもしれません。
1.買う行為自体が好き
2.人間関係のストレスが多い
3.孤独や寂しさを紛らわせたい
4.劣等感が強い
5.見栄っ張り
6.自制心がない
7.計画性がない
8.貯金しようという意識がない
9.面倒が嫌い
10.節約しているつもりが多い
収支バランスとは文字の通り、バランスです。これは金銭感覚のバランスだけではなく、メンタリティ、精神的なバランス
なども含まれます。
上記にあげた浪費癖がある人の特徴の中にも、
2.ストレスが多い。4.劣等感が強い。6.自制心がない。などは心のバランスについてですが、
結局のところ、自分の心のありようが金遣いの良しあしを決めます。
本来は必要ではないものにお金を使ってしまうのが浪費ですが、
精神バランスが安定しないので、ついつい不必要なものを衝動的にまたは無計画に購入してしまう。
その積み重ねが預貯金額の差として表れてきますし、こういう部分は短期間で養えるものではありません。
将来的に豊かな生活をしたい!とみんな願うものの、生活水準が上がらなかったり、
行きたかった旅行にいけないのは、結局のところこういったバランスと計画性の欠如が原因です。
月収から考える投資に使うべきお金とバランス
投資に使うお金としては、しばらく使う予定のないお金で多少減ってしまっても許容できる「余裕資金」が向いています。
一般的に理想的な貯蓄額というと手取り月収の1/3と言われています。
そのため、手取り18万円の場合、理想的な金額は6万円になります。
例えば6万円を貯蓄に回したとしても、現在の銀行にお金を預けたところで利息はほとんどつかないため、
資産を増やす事は出来ません。
そのため理想的な例とすれば、
貯金額6万円のうち1/3の2万円を投資に回してみると、
「投資」をする意味とも言える「資産が増える」体験ができる上に、精神的な負担は軽くなります。
資産形成は、長期間をかけて取組むことなので、大切なのは生活費を削ってまでギリギリの金額で投資をしない事です。
なので、自分が無理なく毎月貯金できる額を割り出して、
その一部を投資に回す、仮に減ってしまっても不安にならない額を投資に回すことで、長い目で投資ができる心の余裕も持てると思います。
株式や債券といった金融商品を中長期で保有する場合は必ず、
金融商品はリスクやリターンがあり価格は上下するものだと考えるべきであって、
一時的な損や利益に一喜一憂してはいけません。
投資をするときに自分にとってどの程度の値下がりならどのくらいの期間耐えられるかを考え、
自分のスタイルにあった投資をすべきです。
〈投資をするべき訳〉
現在日本の預金の利息は殆どゼロのため、預貯金だけでは資産運用とは言えません。
旧来型の銀行にお金を預けておけば10年で2倍になるような時代はやってきません。
つまりは利息というものではなく、資産を増やす方法を模索することが投資のはじまりです。
そのためにも投資を行い、
利益を出す事で資産運用をしていく必要があります。
〈投資の利益〉
例えば、株式の場合は以下の2種類の利益があります。
・値上がり益
→株を購入時よりも高い値段で売却することで得られる利益
・配当益
→会社の利益の一部から株主に還元される利益
このように「投資」は、
利益が出る=リターンを生み出す事があります。
〈投資のリターンとリスク〉
投資ではリターンとリスクが表裏一体となりますが、
それでは投資におけるリスクとは何なのか?
リスクとは「不確実性」の事を示します。
例えば株式などの金融商品は、
確実にいくら上がるなどと断定ができません。
つまりどのくらい利益を得られるか?
どのくらい損をしてしまうのか?が分からない損得の振れ幅のことを指します。
この様に投資において、
リスクとリターンは切っても切り離せない関係にあります。
「ハイリスク・ハイリターン」「ローリスク・ローリターン」
などの言葉がありますが…
一般的にはリスクが高いほどリターンは多く、リスクが低いほどリターンは少なくなります。
〈補足:投資の具体的なリスクについて解説〉
・信用リスク
株式や債券を保有していると投資した会社が倒産をしたりすると。
債券では発行した会社や国の状態の悪化により、払い戻しや利子払いが滞ったり、できなくなったりしてしまうリスクを言います。
・価格変動リスク
価格が変動する金融商品は、
換金するときの金額が支払った金額を上回る場合もあれば、下回る可能性もあります。
・為替変動リスク
外貨で投資をしていた時、換金する際に、円安であれば円の価値が低くなっているので外貨で多くの円を買う事ができる=プラスになりますが、
購入時より円高になると円での手取り額が減り、為替(外貨と円の交換)で損をするリスクがあります。
・カントリーリスク
海外の商品で資産運用するとき、その国の政治・経済の状況の変化によって、証券/為替市場に混乱が生じることがあります。
そのときに投資した資産の価値が目減りする可能性はあります。
投資と預貯金まとめ
ここまでの話から、
「余裕資金」なんて用意できないと思ったり、
やっぱりリスクはとりたくないと思った方もいるかもしれません。
しかし、預貯金だけで貯金をしようとしてもインフレが起こった場合、お金の価値が下がってしまうリスクがあります。
つまりどの資産を持つ事も等しくリスクはあります。
しかし投資を「時間」と言うアドバンテージを使う事によって、
時間をかけてマイナスをプラスにする事もできます。
投資では目の前のお金ではなく、
将来に向けた「資産形成」をしていきましょう。
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